東京事務局ミニ対談:楢原拓×丸尾聡「豊岡に行こう!」

[一般社団法人日本劇作家協会 会報「ト書き」52号より]

劇作家大会には初参加ながら、事務局の中心メンバーとして動く楢原拓と、第1回大会から何度か事務局を務め、今回は楢原を補佐する丸尾聡のフェイスタイム(ビデオ動画)対談。(2014年3月15日)

▽劇作家自身が運営する大会
丸尾 劇作家大会in豊岡。楢原くん担当の事務局も機能してきたなあという感じだけれど。
楢原 自分の劇団でも事務作業をけっこうやるほうでして。執筆はつらいんですが、事務作業には向いていると思います、やってて楽しい性分。
丸尾 楢原くんも大会後に劇団の稽古開始で、忙しくない劇作家はいないんだよね。でも自分の仕事を抱えていても、劇作家自身が動くのが劇作家大会。
楢原 ええもうなんでもやってます。丸尾さん、今回は私も含め運営側に新しい人が多いですが「新鮮だぞ」ってことは?
丸尾 オレ、年喰ったなあ……。
楢原 え?
丸尾 いやいや。自分たちがやりたいことに対して構えがないというか、いろんな発想がストレートに出てくるなって思いました。劇作家同士が組んでの企画があったり。
楢原 なるほど。これまでの大会の雰囲気はどうだったんですか。 
丸尾 北九州で初めて開かれた時、94年だから井上ひさし会長の時代ですが、劇作家が集まるってこと、劇作家大会をやるってこと自体に、わくわくどきどきしたなあ。
楢原 私たちが協会に入った4,5年前はもう、劇作家同士の交流というのは結構あったんですよね。
丸尾 劇作家大会や協会の活動があったから、劇作家同士や演劇人同士の交流が増えてきたってこともあると思う。
楢原 実は私は関東方面ばかりで関西にあまり縁がなく。劇作家大会がないと出会えない人もいますよね。

▽密な街・豊岡
丸尾 大会は県庁所在地での開催が多かったけれど、豊岡はある意味小さい町。これまでとはまた違ったよさがある感じがします。演劇ってそんなに「マス」ではなく「密」だったりするから、演劇的なものに向いているというか、顔が見えるというか。
楢原 下見に豊岡に行ったときの、中貝市長のプレゼンは印象的でした。スライドショー使って、豊岡市の自然との共生や、失われつつあるものの再生について、30分くらい自ら解説なさって。
丸尾 野生から一度失われたコウノトリの復帰プロジェクトを、豊岡市では20年以上続けていて、大会のロゴマークもコウノトリ。メイン会場となる城崎国際アートセンターには、あの野茂英雄さんの野球クラブチームがあって、選手の皆が寝泊まりしている。大正時代から志賀直哉など文学者が城崎温泉で作品を書いたり。それこそ人をもてなし、再生を見守る土壌があるみたい。
楢原 ええ。大会テーマとして「再生」を掲げる僕らも責任重大です。豊岡の方々のそういう思いに応えなくては。

▽大会を味わう
丸尾 大会事務局も正式に動き出し、皆さんがこれを読む頃には、ものすごく忙しくなっているだろうなあ。城崎の温泉が楽しみだなあ。
楢原 温泉ですか……。
丸尾 食べ物もね、カニは僕らが行くときはシーズンオフだけれど、地の魚もかなりいいです、海近いし。近畿最古の芝居小屋・永楽館の近くに名物そばがあって、これが皿そばというんですが……(食べ物の話が延々と続くがカット)
楢原 おいしいもの食べて、温泉にどっぷり浸かって癒されて、演劇にもどっぷり浸かって。私も劇団を15年やってますから、ここで再生といきますか。ただ私は運営スタッフですからね、皆さんの「再生」の場となるようにサポートしていくことも楽しみにしています。
丸尾 さすが!
楢原 バタバタで大変だろうなって予測はついてるんです。劇作家がそれぞれ自分の創作を抱えながらやる宿命なので、喧嘩したり泣いたり、トラブルはきっとありますよ。でも市の皆さんや参加してくれた皆さんに、よかったなと思ってもらえれば。地元にも何か残ったりするといいなって。
丸尾 会員の皆さんに伝えたいと思うのは?
楢原 ぜひいろんな人が集まって互いに知り合って、次につながるようにしてもらいたいですね。
丸尾 この4日間に、演劇人が200人も集まるんだよね。各企画ももちろんですが、大会全体の、濃密な空間と時間を味わってもらいたいと思います。

▽デジタルのつながり、アナログのつながり
丸尾  以前の大会で別役実さんが、『人だかりの試み』という文を書かれたんですよ。群れるのではなくたかるのだ、そこになにか生まれるかもしれない、といったことを。 
楢原 わっと人が集まっている感じって、いまはなかなかないですよね。ブロードバンドの活用がいっそう進んで、半径50センチくらいでいろんなことができる感じ。
丸尾 今日もフェイスタイム対談だもんな。でも顔を突きあわせないとできないこと、わからないことはあるからね。演劇はアナログなところがあるし。
楢原 今回の運営でも、メールのやりとりだとなかなか進まないようなことも、会って話すと一発で決まったり。デジタルは効率的ですし、ツイッターやフェイスブックで人と個々につながれる。でもその上でみんながたかって、顔を突き合わせてやることはすごい大事ですね。
丸尾 だな。
楢原 劇作家大会ってお固い感じがして、「なんだろう?会議でもするのかな」って私も最初は思ってましたけど、でも言っちゃあ劇作家の文化祭、お祭りですよね。これは足を運ぶしかないだろうって。
丸尾 ぜひ来てほしい、安い交通宿泊の提案とかもしていきますから、「劇作家大会に行こう!」って。夜は劇作家たちが飲み歩いてますし。
楢原 皆さんほんとに飲むんですか?
丸尾 飲みますね。意外なメンバーで飲んでたり。
楢原 一般のお客さんも会員同士も、どんどん絡んでいってもらいたいですね。
丸尾 絡むのは…まずいだろう。
楢原 いやいや、その絡むじゃありません。